文学館叢書第3弾!"新聞記事拾い読み"刊行


 市立小樽文学館を支援する小樽文學舎(高橋昭三会長)は、市立小樽文学館叢書第3巻「新聞記事拾い読み」(著者:渡辺真吾・A5版・203ページ・1,000部)を、8月末に発行した。
 小樽文学館叢書の第1巻は、小樽文學舎の前身の小樽文学館成立期成会が、著者・小田重子氏の「小田観蛍の想出」を発行した。かなり期間をあけ2011(平成23)年に、第2巻・亀井志乃氏の「緑人社の青春」を発行し、この度、第3巻の発行となった。
 フリーライターの渡辺氏は、1957(昭和32)年、東京に生まれ、北海道大学文学部卒業。1993(平成5)年から小樽に住み、博物館関係の仕事に就く。2011(平成23)年に、小樽文学館企画展「小樽・新聞物語」に全面的に協力、トークショーを開いている。
 渡辺氏は、小樽の年表を作るにあたり、歴史を正す作業の中で、市立小樽図書館や北海道立図書館にある、1879(明治12)年から2000(平成12)年までの新聞(主にマイクロフィルム)を読んでいた。
 明治・大正・昭和初期の小樽新聞や北海タイムスのほとんどに目を通し、特に明治時代の新聞には、渡辺氏にとって興味をそそられる記事が多く、小樽に関連した記事を中心に、あまり知られてない出来事や面白い記事と、北海道や本州の大きな出来事と合わせ、2005(平成17)年10月から2008(平成20)年3月まで「図書館だよりしらかば」に30回連載した「新聞記事万華鏡」をもとに再編集した。
sousyo3.jpg 記事を差し替えたり、訂正箇所を改め、挿絵をイラストレーターの高山美香さんに、装丁や編集には佐藤圭樹さん(有限会社ウィルダネス)が協力。小樽の世相や表面に現れないユニークな出来事などを掲載した、ユーモラス満載で読んで楽しい1冊が完成した。
 渡辺氏は「明治から大正時代を中心に、自分が興味を引くものを集めた。内容に一部硬い部分もあるが、高山さんのイラストで親しみやすく仕上がり、皆さんが楽しめるように編集した」と話した。
 大きな記事としては、明治末の白瀬矗(のぶ)中尉を隊長とする日本人初めての南極探検隊の裏事情や、人間関係などの様々な逸話は、同氏の心に大きく刻まれた出来事のひとつで、11ページにも及ぶ。
 また、伝染病流行の季節となる夏には、様々な対策が練られ、捕獲したネズミやハエを買い上げてもらい、ハエの捕獲数により賞品を出す「奇抜の蠅捕奨励」を実施。1万匹以上の蠅を取ると、1等には白米1俵が贈られた。その結果、1等は45万匹もの驚く数の蠅を捕まえたと記されている。
 三面記事の章にまとめた中には、事件性に至らぬ不道徳な女の事件簿や、哀しい男の事件の他、明治時代小樽の教育界最大のスキャンダルも紹介している。
 飲酒の出来事は昔もあったようで、酒に呑まれた人の話を明治篇と大正篇に分けて紹介。並外れた大酒飲みだったり、喧嘩などの騒動など、酒にまつわる出来事の多さは計り知れない。
 このような小樽の知られざる逸話が、膨大な新聞から拾い集め1冊にまとめている。
 玉川館長は、「日本の命運を左右するような大きな出来事は1つもなく、昔の新聞には、くだらないことを挙げ連ね、プライバシーもなく名誉毀損になるような記事も多く、それを面白く捉えている。他の作業のために新聞に目を通していた渡辺氏が、新聞記事を見て集め、面白さが溢れている。歴史に残らず抹消するには、あまりにも惜しい気持ちが、まさにその通りで、魅力的な歴史を捉えた1冊」と推薦した。
 なお、9月20日(日)14:00〜15:30に、市立小樽文学館(色内1)1階研修室で発刊記念講演会「新聞記事拾い読み~おもしろいむかしの新聞」を開催。著者の渡辺真吾氏が講師を務め、イラストレーター高山美香氏をゲストとして迎える。聴講無料で希望者は、文学館(0134-32-2388)へ事前に申し込む。
 小樽文学館叢書第3巻「新聞記事 拾い読み」
 著者:渡辺真吾・定価1,200円(税別)・発行:小樽文學舎・発行部数1,000部
 取扱いは、市立小樽文学館(色内1)カウンター、小樽文學舎HP(通信販売)、市内の主な書店(近日中)。
 文学館と通販での購入者に限り、イラスト絵葉書をプレゼント。
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