高文連大会へ向け 猛練習の高校演劇部


 第63回高文連後志支部高等学校演劇発表大会が、10月2日(水)・3日(木)の両日、市民センター(色内2)マリンホールを会場に開催される。
 参加校は、岩内・余市紅志・倶知安・小樽明峰・小樽水産・小樽商業・小樽潮陵・小樽桜陽高校の8校(出演順)で、2日間で高校演劇を繰り広げる。現在、この8校の演劇部は、目前に迫った大会に向け、猛練習を続け、最後の追い込みに入っている。
ouyouHS1.jpg このうち、桜陽高校では、昨年は惜しくも優秀賞だったため、今大会では、全道大会への出場を目指し、部員17人が休日を返上し、朝から学校に集合して練習に励んでいた。同演劇部は、8月3日に、潮陵高校と余市紅志高校との演劇合同公演「約束の地」を演じ、多くの市民らが観劇し成功させており、その直後から、同大会の準備に取り掛かっていた。
 今回の脚本は、同校演劇部の菊地美千顧問が、8年前から構想を練っていたもので、以前から部員に内容を話していた。3年生全員の部員が、いつかはこの劇を演じたいとの強い思いで実現した。
 タイトルは「サクラサクラ」。終戦直後昭和21年4月9日、北海道の沿岸沿いの小さな町の小学校の朝の職員室が舞台となり、いつもと違った特別な日となる・・・。その日は、大切な教科書に墨塗りをした日。この事実を、図書館やその時代を生きた人の体験談などにより調査。また、当時の雰囲気を出すために、木造建築を見学したり、小学校での机と椅子は、当時のものを借り、ないものは手作りした。
ouyouHS2.jpg 同校2年演劇部・桂愛永部長は、演出と出演者も兼ね、スタッフ側と役者のまとめ役でもある。桂部長は「終戦直後が舞台で戦争を知らないため、この時代の人はどんな考え方をしていたかなどを聞いた。聞けるのは私達の世代がギリギリだと感じ、未来へ繋げたいと思う。全道大会のことだけではなく、命の大切さなどが詰まった内容の作品で、難しい劇へ挑戦したいと思う」と話した。
 同校1階学生ホールでは、使えるものは再利用し、道具作りに励んでいた。同校演劇部千田拓也顧問の指導のもと、当時の職員室だとひと目で分るように写真を見て再現。
 7人の教師役が中心人物で、そのひとりの同校3年・館山佳奈さんは、「演劇部3年目で初めての中心的な役で、プレッシャーを感じ緊張感がある。大会では3年間やってきたことを発揮し、悔いの無いように演じたい」、また、同2年長愛結実さんは「長い台詞で間の取り方がうまくいかず、間と表情が難しい。先輩からアドバイスをもらった。みんな全道へ行きたいと思うので頑張りたい」と話した。
meihouHS1.jpg 明峰高校では、プレ公演として、発表作品「学校シリーズ⑳”小教室~放課後のキセキ”」を、9月28日14:00から、同校体育館で行なった。
 同校OBや生徒、父兄ら20人が集まり、演劇を楽しんだ。昨年の高文連の大会では、入賞を逃し悔しい結果となった。
 
同校の高文連支部大会参加作品は、日常生活や身近な問題を題材にした学校シリーズ。昨年度は、「生活保護」をテーマに、今回は、今話題となっている「ブラック企業」をテーマに、生徒が創作した。生徒が創作した脚本で演じるのは初めてで、人生の中で大切な進路をめぐってのドラマ「放課後のキセキ」が完成した。
 その脚本を書いた同校劇部3年の吉田雪音さんは、「以前、15分くらいの劇を書いたことがあったが、高文連での脚本は初めて。最初、書く気が全くなく、一部分を担当しようと思っていただけだった。みんなの意見を取り入れ、5回書き直したのが今日演じた作品。まだ完璧ではないが、ブラック企業へ就職というのはひとごとではないと知り、ブラック企業に対して考えてもらえると嬉しい」と話した。
meihouHS3.jpg プレ公演会会場では、ステージを使わず、観客と同じ高さで演技が行われた。公演会に先立ち、同校石澤隆一教頭は、「ブラック企業をテーマに、就職活動の学校シリーズを演じた。就職が決まってもブラック企業であったり、セクハラ・パワハラの声を聞く。どんな力を身につけるか、高校生として何をすべきかを考え、それを表現できればと思う」と挨拶した。
 同公演会では、部員17名が整列し元気に挨拶。8分以内のセッティングを目標に、声を掛け合いながらテキパキと動き、4分40秒台で完了。
 
 主人公慎一は高校3年生。父子家庭で、弟と妹もいる。父の会社が倒産し、その後紹介され就職した会社がブラック企業。慎一はアルバイトをして家計を助けるが、バイト先も充分な賃金を払わないブラック企業だった。卒業を控えた慎一は、バイトに専念するため退学を選択するが・・・。笑いあり、涙ありの熱演が続き、役柄を掴んだ感情のこもった台詞。次第に見ている人は話に吸い込まれ、あっという間に60分間が過ぎた。セットは、3分50秒台で撤収した。
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 明峰演劇部を20年以上指導する吉川勝彦顧問は、「脚本の最初から最後まで、どこにも自分の言葉を入れていない。脚本は5回書き直し、妥協しなかった。ブラック企業について奮闘するところを見てくれれば、大会に出る意義がある」と話した。その後、観客に直接部員が意見や感想、アドバイスを聞き、本番への糧とした。
 主役慎一役の同校3年の館山大輝君は、「今回主役を務めた。練習の進み具合は、今までの高文連の中で一番遅い。台詞が多く、覚えられるか不安になったが、今日は上手に言えたと思う。ここで満足はできない。ギリギリまで良い物を作りたい」と意欲を話した。同校3年秋山裕紀子さんは、「慎一の同級生彩子を演じ、本当の自分は彩子の役どころとは対象的。まさに進路を考える時期。今回は、主役ではないが、気持ちを高め頑張っている」と話した。
 後志管内8校が、全道大会への切符を獲得するため、最優秀賞を目指し、お互いしのぎを削り、本番を迎えようとしている。
 第63回高文連後志支部高等学校演劇発表会 10月2日(水)・3日(木)
 市民センター(色内2-13-5) 入場無料
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